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通訳者の耳にはどう聞こえているか?

同時通訳の現場を外から見ると、通訳者は淡々とマイクに向かって訳しているように見えるかもしれません。しかし、実際に通訳者の耳にはどんな世界が広がっているのでしょうか。


1. 同時に走る「二つの音」

通訳者は、ヘッドセットから流れてくる発言を聞きながら、自分の口から別の言語を発しています。つまり、耳では**「話者の言葉」と「自分の声」**の二つを同時に処理しています。一般的な会話ではなかなか体験できない特殊な状況です。


2. 意味を「かたまり」でとらえる

聞こえてくる音声を一言一句訳すわけではありません。通訳者の耳には、文章が「意味のかたまり」として入ってきます。キーワードをすばやくキャッチし、文脈に沿って頭の中で組み立て直すのです。まるで川の流れから必要な石だけをすくい上げるような感覚です。


3. ノイズの中から必要な情報を抽出

会場では咳払い、紙をめくる音、時には雑談まで聞こえてくることもあります。オンライン通訳では接続のラグやハウリングもあり得ます。通訳者の耳は、そうしたノイズを自動的にフィルタリングし、必要な情報だけを拾い上げる「選別モード」に切り替わっています。


4. 集中力を保つ工夫

長時間この「二重処理」を続けるのは容易ではありません。だからこそ同時通訳は2名以上で交代しながら行います。耳と脳を酷使する仕事だからこそ、集中力の維持がプロに求められる重要な力です。


通訳者の耳には、私たちが普段想像する以上に多くの音が飛び込んできます。その中から本当に必要な情報だけを瞬時に整理し、別の言語に変換する――これがプロの同時通訳の舞台裏です。


法人や自治体の皆さまにとっても、こうした「耳の使い方」を知っていただくことで、同時通訳サービスの専門性をより理解していただけるのではないでしょうか。

 
 
 

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