通訳者と資料の関係
- dojitsuyakucom
- 1月22日
- 読了時間: 3分
〜資料がない場合どうなる?〜
通訳の現場で最も多く交わされる言葉の一つが「資料はありますか?」です。
初めて通訳サービスを依頼する企業や自治体の担当者からは、「当日聞いて訳すのだから、資料はなくても大丈夫では?」というご質問も少なくありません。
しかし実際には、資料の有無は通訳の品質に大きな影響を与えます。
ここでは、通訳者にとって資料が持つ意味と、資料がない場合に何が起きるのかをご紹介します。
資料は“答え合わせ”ではなく“予測の材料”
通訳者は当日、発言を聞いて訳すだけではなく、事前に内容を予測しながら準備します。
そのために資料は重要な手がかりになります。
資料から通訳者が読み取る情報は多岐にわたります:
用語の傾向
略語や固有名詞
話の流れ
結論の方向性
背景情報
想定される質疑応答
つまり資料は本番での脳内処理の負荷を減らすツールでもあります。
資料がない場合に起きること
資料が一切ない状態で通訳を行うと、通訳者は「聞きながら理解し、同時に訳す」という作業を、初見で何度も行わなければなりません。
この状況では特に以下が起きやすくなります:
数字や固有名詞を聞き逃す
専門用語の訳が曖昧になる
文脈の転換に遅れる
結論がぼやける
ニュアンスの再現が難しくなる
通訳者の実力とは関係なく、情報の非対称性が原因で品質が落ちるのです。
資料が“途中版”でも役に立つ理由
依頼者の中には、資料が未完成だと「まだ出せない」「ギリギリまで待ってほしい」と思われる方もいます。
しかし通訳者にとっては、途中版でも情報価値があります。
例えば:
未完成のスライド
下書きの台本
事前に配った社内資料
過去年度の資料
グラフだけのPDF
手書きのメモ
こうした情報だけでも、全体の流れが掴めます。
通訳現場では完璧よりも、早さのほうが価値が高いケースが圧倒的に多いのです。
資料がどうしてもない場合の対処法
それでも資料がないケースはあります。視察・現場案内・会食・現場対応などが典型的です。
その場合は:
アジェンダ(話題のリスト)
想定質問
用語リスト
登壇者プロフィール
背景情報の一枚もの
など、短くても良いので補助的な情報があると安定します。
まとめ
通訳における資料は、
翻訳のための材料というよりも
理解と再現のための“地図”
に近い存在です。
資料がある会議は通訳者だけでなく、参加者側も理解しやすくなるため、会議自体の成功率も上がります。
そして何より重要なのは、
資料は完璧より“早めに”
という点です。
通訳サービスは、依頼者との協力で品質が高まる仕事だからです。
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