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プロの通訳者はどんなふうに勉強しているの?

〜毎日の積み重ねが現場での力に〜


通訳者というと、「語学が得意な人」「英語がペラペラな人」というイメージを持たれることが多いかもしれません。でも、実は通訳のスキルは一度身につけたら終わり、というものではありません。むしろ現役で活躍している通訳者ほど、日々コツコツと勉強を続けているのが実情です。


今回は、そんな通訳者たちが実際に取り入れている「具体的な勉強法」をご紹介します。


1. シャドーイング:聞いて、真似して、口に出す

通訳のトレーニングといえば、やはり「シャドーイング」が定番です。英語などの音声を聞きながら、1~2語遅れてそっくりそのまま口に出していくこの練習は、リスニング力とスピーキング力、そして同時通訳の基礎体力を養います。

ニュース、スピーチ、TEDトークなど、さまざまな音声を教材にして、毎日数分でも継続することが大切です。


2. サイトトランスレーション:読む→即訳す

原稿を目で追いながら、書かれた内容を即座に訳して口に出す「サイトトランスレーション」も重要な訓練です。これは逐次通訳や同時通訳の場面で、頭の中で素早く構文を処理して訳す感覚を養うのに効果的です。

特に、長文の構造や専門用語の言い換え力を高めたいときに有効です。


3. 用語集づくり:テーマ別にコツコツと

通訳者は、業界ごとの専門用語に対応するため、テーマ別の用語集を日常的に作成しています。最近のニュースや技術動向をもとに、英語と日本語の対応を調べ、覚え、ノートやアプリにまとめておきます。

例:

  • 医療:immunotherapy(免疫療法)、clinical trial(臨床試験)

  • IT:cloud-native(クラウドネイティブ)、load balancing → (負荷分散)


4. リプロダクション:聞いた内容を要約して話す

音声を聞いたあと、自分の言葉で要点を再構築して話す「リプロダクション」も通訳者にとって重要です。これは、逐次通訳の際に求められる記憶力と要約力、構成力を鍛えるトレーニングです。


5. リアルな素材を使って練習

プロの通訳者は、実際のニュースや会議の映像を使って勉強することが多いです。最近では、YouTubeやポッドキャストなどで良質な音声素材が豊富に手に入ります。実践に近い形での練習は、現場対応力を高めるのに欠かせません。


おわりに

通訳者のスキルは、一見「才能」のように見えて、実は「日々の積み重ね」でできています。毎日少しずつ、自分の弱点を補いながら訓練を続ける――その地道な努力が、あの短い瞬間にぎゅっと凝縮されているのです。

「どうやってあんなにスラスラ訳せるんだろう?」と思ったときは、その裏にあるトレーニングの存在にも、ぜひ思いを馳せてみてください。

 
 
 

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